大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)3579号 判決

〔抄 録〕

弁護人の控訴の趣意(訴訟手続の法令違反による憲法違反)について。

原判決が本件犯罪事実認定の証拠の標目として、所論のように被告人の当公廷における供述の外判示第一乃至第三の点につきそれぞれ、所論引用の各証拠を挙示していることは所論のとおりである。よつて所論の右挙示の各証拠について、原審において適法に証拠調が行われたか否かについて、所論の原審第二回及び第三回公判調書を精査すると、原審第二回公判調書には、被告事件に対する被告人及び弁護人の陳述に引き続き、「証拠調検察官は証拠により証明すべき事実は起訴状記載の各犯罪事実である旨述べ別紙証拠調関係カード記載のとおり証拠調を申請した。弁護人及び被告人は右に同意します裁判官取調決定弁護人弁論準備のため公判延期申請」等と記載され、同第三回公判調書には、証拠調の関係においては、「証拠調別紙被告人供述調書のとおり」とのみ記載されていること、従つて、第三回公判期日における証拠調としては、被告人に対する質問が為されたに止まること、右第二回公判調書に検察官の申請にかかる各証拠について、証拠調が履践された旨明記されていないことはいずれも所論のとおりである。しかしながら、右第二回公判期日において、所論のように検察官申請の各証拠の証拠調が留保されて証拠調手続が履践されないまま、第三回公判期日に続行され、同公判期日においても証拠調手続を履践しないまま、弁論を終結したものと速断することはできないものと解せられる。即ち前記第二囘公判調書には、検察官申請の各証拠について、裁判官取調決定と記載され、同公判調書に検察官の証拠申請書と共に、検察官申請の各証拠が編綴されているのであるから、刑事訴訟規則第四十四条が特に裁判長が命じた場合の外証拠調手続の履践自体を必要的記載事項としていないことと相俟つて、同公判期日において、右各証拠についてそれぞれ適法な証拠調手続が履践されたことと認め得るからである。それ故、原審には所論の違法なく、右各証拠について、証拠調手続が履践されなかつた訴訟手続の法令違反を前提として、憲法違反を主張する所論は失当である。論旨は理由がない。

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